MudWatt微生物燃料電池のしくみ
微生物燃料電池(Microbial Fuel Cells, MFC)とは、微生物の自然代謝を利用して発電する生物電気装置のことです。
微生物は装置内で、糖分やその他の栄養素を周囲の環境から摂取し、それから得られたエネルギーの一部を電力として放出します。
微生物は地球上の土や、砂などの堆積物など、どこにでも存在するものです。
この多様な微生物の中には独特な代謝活動をするものもあり、ある微生物はその代謝過程で錆などの酸化金属化合物に電子を与えたりしています。
あたかも人間や他の生命体が呼吸の際酸素を吸うように、このような発電性微生物は金属化合物を体内に取り込んでいるのです。
MudWatt は、これら微生物が、グラファイト系の2つの電極を働かせる、特殊な能力を利用しています。 容器にただ土を入れるだけです。
早ければ2~3日で、土中の微生物の力で電力が発生します。
MudWattは先生や生徒、そして化学愛好家の方々にとって、素晴らしい教材になるでしょう。
土壌は自然のままにあらゆる微生物を豊富に含む共同体です。MFCに必要な起電性の微生物もこれに含まれるため、土を準備するだけです。
土には複合糖類や何百万年もの動植物の腐敗物の堆積によって生じるその他の栄養素が豊富に含まれるため、これらの微生物が数年間繁殖を続けるのに十分です。
起電性の微生物のうち、MFCでは特に2種類がよく見られます。 「MudWatt」ではアノードは土中に埋まっており、カソードは表面に露出しています。この配置 により、無数の微生物を含む生物膜がアノードの表面に育っていきます。この生物膜は発達 しながら土の中の糖や栄養素を摂取し、廃棄物として生体分子(余分な電子が付着した生体 分子)を排出します。その余分な分子をアノードに移すことが、微生物燃料電池の第一段階な のです。
電子はアノードに移ると、次へカソードへ移動し、そこで酸素分子と微生物の代謝の副産物で ある水素イオンが反応して水を生じます。この過程がアノード表面の無数の微生物によって繰 り返され、電流が発生します。 アノード表面の微生物以外に、好気性(酸素呼吸する)微生物も存在し、アノード付近の土中の 酸素を消費します。
このアノードとカソード付近の土中の酸素濃度の差によって、電圧が生じま す。 この電圧と電流によって、「MudWatt」は電力を発生させるのです。(電力=電流×電圧) この電力は小さい装置(LEDライトのような)を二つの電極の間につなぐことによって使うことが できます。 MFCによる発電は、アノード付近に微生物の栄養源がある限り継続します。 通常、一般の表土を使用した場合、「MudWatt」の発電は数年間続くと予想されます。
※土によって差はあります。
キット内容物
- デジタル時計
- ハッカーボード
- コンデンサー
- LED
- ニトリル手袋
- フェルト製+極(カソード)
- +極(カソード)ワイヤー (オレンジ色)
- フェルト製-極(アノード)
- -極(アノード)ワイヤー (グリーン色)
日本語の詳しい解説がついていますので、どなたでも気軽にお使いいただけます。